ヤドカリ・シティ

京町屋という建物をご存知でしょうか?

京都市によると、昭和25年以前に建てられた、虫籠窓や木格子戸など伝統的な意匠の家を指すそうです。
京都市内に判明しているだけで4万件あります。

京都市は古都の景観を守るため、そんな建物すべてを保存すべきとして条例を制定します。
その条例によれば、「京町屋」を解体する際は事前に届け出をすること、特に京都市が指定する京町屋、もしくは指定するエリアにある京町屋は、解体の1年前に届け出をしなければ科料に処すとしています。
届け出をうけた京都市は1年かけて京町屋を壊さないよう所有者を説得するというわけです。
ある意味、所有者の財産権を制限してまで景観いう公の利益を優先することが正義だというのです。

確かに京都はいま活況です。
国の内外からお客様が来てくださり、昨年は1兆800億円ほどの経済的効果があったそうです。
だから、京町屋を保存して景観を守るんだという考えもわかります。

 

でも一方で本来その京町屋は人が住まう場所であります。
各地で地震が起きる中で建物の耐震化が叫ばれる昨今、景観を守るために、築70年以上の「古家」を、安全な建物に建て替えて住みたい、あるいは活用したいという市民の行動を制限してまで、言い換えれば市民の命の危険を犠牲にしてまで、景観を守るのが正義なのでしょうか?

 

私にはわかりません。

 

ただ確実に言えることがあります。
それは今後日本の人口が減少するということ。
京都市内では今、13%の空き家があるといわれています。

京都市の説得に応じ、残すこととした京町屋。
それらは本当に人が住んでくれるのでしょうか?

現在、多くの京町屋は飲食店や工房、民泊などに転用されています。
家には人が住まうという本来の用法でない形で、京町屋はかろうじて守られているというのが京都の実態です。
そして今後も京都の景観のため、京町屋を保存するために、そんな利用が増えていくのでしょう。
まるでヤドカリ・シティ…

それが京都にとって本当に良いことなのかどうなのか、私にはもっとわかりません。

wahaha について

高山株式会社 代表取締役  高山行政書士事務所 代表
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