先日、京都の繊維関係の旧宅を改造した飲食店で懇親会がありました。
京都の旧家らしく1階はお店・2階は居宅で、ライトアップされた中庭が素敵です。
その向こうに立派な離れや蔵も見えています。
入店すると「土足でどうぞ」と書かれた看板。
それに誘われて2階へ上がると、元は座敷らしき部屋へ案内されました。
立派な床の間のある部屋にシックな絨毯がひかれ、テーブルと椅子で食事します。
照明を落とし、ムードのある音楽、外へ目を移すと手入れされた庭、料理はおいしい。
でも…
でも何か落ち着かない。
もっと言えば嫌な気分なんです。
原因は何かとよく考えてみて気がつきました。
それは、かつて居住まいをだだした家人が座したであろう その座敷を、いま私は土足で踏みつけている、その非礼を恥じる心がその原因だとわかりました。
京都の町家を守ろうというのは良いことだと思います。
しかし、結局は京都以外からやってきた黒船資本によって何とか外観だけが繕われた、まるでムービーのセットのよう形でしか守られていない。
そんな建物が多いのも現実です。
文化庁が京都市へ移転し大勢の職員さんが京都へ来られます。
できれば立派なマンションのような宿舎ではなく、京都の町家にお住みいただき、京都の町の生活者の視点から京都を感じ、そして支えて頂きたいなぁと思ったりする今日この頃です。