私の大好きな滋賀県。
季節折々にいろんな表情を見せてくれます。
その中でも、昔からここぞと選ばれたのが「近江八景」です。
近くにいながら行ったことがない場所もありますので改めて少しずつ紹介していきますね。
その舞台は琵琶湖岸にあり、大津市の史跡・名勝に指定されている唐崎神社です。
安藤広重のこの版画をご覧ください。
この中央に悠然と描かれているのは松の大木です。
ご神木として大切に守られてきましたが、残念ながら現在はマツクイムシにやられたのか半分枯れかけています。
何とか元気になってほしいものです。
この松は湖岸に建っていますが、広重の版画は鳥居や本殿と松の位置から、神社より北側から描かれています。
湖岸は湾曲しているので少し離れた下坂本あたりから見たのでしょう。
その位置でもさえ松がこれだけダイナミックに見えたのですからこの松の威容がわかります。
その松が雨に煙る様子が近江八景の一つに選ばれています。
冒頭の
辛崎の松は花より朧(おぼろ)にて
は松尾芭蕉の句です。
松の根元にこの歌碑が建っています。
北国より近江に入った芭蕉が唐崎に近づくにつれこの松が見えてきます。
琵琶湖の薄霧の向こうに見えた松は、桜よりも霞んではいるものの琵琶湖にも負けぬ存在感で芭蕉の胸を打ったのかもしれません。
素敵景色と共に空想を巡らせながら夜の帳が降りるまでゆっくりと湖面を眺めてきました。