車いすに乗った犬

うちではミニチュアダックスを飼っています。
この犬種は胴が長いためヘルニアなどにより歩行障害がおこりやすく、実際うちのわんこもその兆候が出て治療中です。

先日、平安神宮近くのベンチで座っていると中年のご夫婦がワンちゃんと散歩をされていました。
よく見ると、そのワンちゃんは後ろ足の代わりに犬用の車いすを着けています。
歩くことが不自由になったワンちゃんへの愛情を感じるとともに、そのご夫婦の優しさに感動しました。

ところで、私の父は障害者で車いすの生活をしています。
最近は普通の車いすと何ら変わらないサイズでありながら電動で動くものが開発され、障害者の活動の範囲を広げています。

電動車いすで自由に移動できる。
しかも人の手を借りず自分で動ける!
これは健常者が思う以上にうれしいことなのだと私は思います。

障害者の皆さんの中には、従来型の電動でない車いすを押してくれる介助者に
「ありがとう。」
「ごめんなさいね。重いでしょう。」
「あんなに遠くまで押してもらうのは気の毒だから、あそこに行くのはやめておきます。」
そんな遠慮をなさる方もおられます。
そんな気持ちのバリアは障害者の皆さんの行動を制限します。
だからこそ、一人で動けることは障害者の大切な自己実現なのである、と私は父を見て感じるのです。

ところで、障害を持った父ですが、何度か船で海外旅行に行くことができました。
飛行機の移動は難しいけれど、船なら乗ってしまえば部屋ごと運んでくれるわけですから障害者には唯一無二といっていい海外旅行手段です。
船旅はよほど楽しかったらしく、自分の船旅を本にして出版したほどです。
そんな生きがいともいえる船旅でしたが、数年前、次の旅行を申し込んだ父にその船会社から手紙が届きます。
旅行約款を改正し電動車いすを禁止としたため旅行への参加を断るというものでした。
いままで、乗船の際はもちろん家族の誰かが付き添って参加し介助してきました。
車いすのサイズも普通のものと変わりない。
誰に迷惑をかけるわけでもないのに何故?
私は会社に再考をお願いしましたが聞き入れられることはありませんでした。

楽しみにしていた旅行が叶わず父はそれ以来、旅に出ることはなくなってしまいました。

そんな失意の父に対し、残酷なことにその船会社から旅行へ誘うパンフレットが定期的に届きます。
家族が開封し、先ず見るのは素敵な写真や楽しい文字が躍る紙面ではなく、最終ページの虫眼鏡で見なければわからないような旅行約款。
そこに小さい字で「電動車いすは乗船お断り」の文字を見つけると、がっかりするであろう父の目に触れさせるのがかわいそうで、パンフレットをゴミ箱の奥に隠すようにそっと押し込みます。

障害者は健常者に混じって楽しむことは許されませんか?
年老いた老鳥が自分で羽ばたこうとするその羽根をむしり取るのは何故ですか?

後ろ足の不自由なワンちゃんを車いすに乗せた、あのご夫婦のような優しさもって、弱いものを労りながら生きていける社会こそ人間のあるべき姿だと私は思います。

 

イラストは下記のサイトから引用させていただきました。
ありがとうございます。

http://www.irasutoya.com/

wahaha について

高山株式会社 代表取締役  高山行政書士事務所 代表
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