以前、行徳哲男先生の講演を拝聴しました。
先生のお話は一つ一つが心に響き、私の生涯で聞いたもっともすばらしい講演の一つであったと思っています。
その中で、広隆寺の弥勒菩薩についてのお話がありました。
20世紀最高の哲学者と言われたカール・ヤスパースが広隆寺を訪れ、弥勒菩薩をみて「私はあれほどま完成された微笑の顔を見たことがない」「人類が作り上げた最高の美」と絶賛したそうです。
弥勒菩薩の慈悲深い微笑み・・あのお顔はたくさんの過ちを犯してたどりついたものだ、とヤスパースは悟ります。
人々があの弥勒菩薩を見てなぜ心が救われるのか、その訳を理解したのだそうです。
人は過ちを犯すもの。しかしその過ちへの後悔の積み重ねが、人の痛みも苦しみも共感できる人へと成長させてくれるのかも知れませんね。