広島の大規模な土砂崩れで、多くの尊い命が失われました。
被害にあわれた皆様には心よりご冥福をお祈りいたします。
ところで、宅地開発に伴い、傾斜のきつい土地にも家が建てられることがあります。
当然、傾斜地では土砂崩れのリスクがあるわけですから、一定の基準に該当する「崖」に接する土地に建築する場合はそれなりのルールがあります。
一言でいえば、土砂崩れを起こさない構造物を作るか、土砂崩れがあっても被害が最小限になるように規制をかけるかということです。
前者については擁壁などで崖をしっかり固める工事を施すことです。
後者については、土砂崩れがあっても大丈夫なように空地をしっかりあけるということです。
図を見ていただくとわかりますが、崖の高さの2倍の空地を空けなさいという条例が多いです。
とすると、崖の高さの2倍以内のエリアに家を建てる場合は、崖をしっかり固める工事を施すことなど、崖に一定の基準を満たす工事をしない限り建物が建てられません。
「じゃあ、そうすればいいじゃないか!」
確かにそうなのですが、問題はそう簡単じゃありません。
通常、傾斜地の場合、崖の下まで崖上の所有者が所有することが多いです。
崖から流れる水を排水するための排水路を作ることも多くみられることからもわかります。
とすると、崖下の所有者は、崖上の土地所有者がしっかりした擁壁を作ってくれる、あるいは作らせてくれない限り建築できないこととなるわけです。
また、何らかの事情で崖があるにもかかわらず、上記の「2倍のエリア」に家が建てられていて、崖の改修ができない場合に、その不動産を売却される場合には事実上「再建築不可」となります。
さらに注意すべきは「崖」が一見してわかるものだけでなく、ちゃんと基準をみたしていない高さ2m以上の擁壁などもこの「崖」に含まれます。
傾斜地での不動産を購入される際は、是非ご注意ください。